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韓国サンナクチ殺人事件

04 28, 2019
2010年4月の事です。
韓国では飲食店で当たり前のように提供されている活きたタコ(蛸)の食事による事故死に見せかけた殺人事件が発生しました。




サンナクチのタコが喉に絡まり?




2010年4月18日、韓国・仁川永宋島。韓国人男性キム(30代・男性)は彼女であるユン・ヒョウォンさん(22、女)を誘って酒を飲むことにしました。二人は婚約中で結婚を直前に控えた関係です。

この日、婚約中のキムと彼女はバーで酒を楽しんでいました。時間はすでに日付の変わった翌日午前2時を回っていました。
「じゃ、そろそろ帰ろうか」
と二人はバーを出てラブホテルに泊まり、そこで再び酒を飲むつもりでした。

そしてラブホテルに行く途中で彼らは活きタコを買い求めます。 しかしキムが選んだのはサンナクチに慣れた韓国人でも「このサイズは危険だ」として選ばないような少し大きめのタコだったのです。



動画は食べやすくカットされたタイプのサンナクチ





ラブホテルから119通報




午前3時過ぎ、キムらはラブホテルに到着します。 少し後、そのラブホテルの従業員が消防に緊急通報を行いました。
「利用客の呼吸が止まりました!」

慌てた救急隊員らがそのホテルに駆け付けます。 そこで彼ら救急隊員らが見たのは部屋の中で呼吸を止め倒れたユンさんの姿でした。

救急隊員らは大慌てで呼吸の止まってしまったユンさんを近くの救急病院にまで搬送しました。 病院では宿直の医師らの手により蘇生が行われました。

しかし一時は心臓の鼓動を戻したユンさんでしたがその半月後、病院の個室で再び心臓を止めてしまいます。今度は再び心臓が動き出すこともなかったのです。



活きたタコが彼女の喉に詰まった?




キムは救急隊員や警察に対して
「彼女とサンナクチを食べながら酒を飲んでいました。しかし彼女が食べたサンナクチが喉に引っかかって窒息したのです。」

所が事故当日、現場に駆け付けた救急隊員の証言によれば、彼の説明とは少々違った光景が浮かび上がったのです。何故なら部屋の中で「窒息した」とされるユンさんの表情に苦悶の色がまるでなかったからです。そして前述のようにキムが自ら購入したとされる活きタコのサイズが通常のサンナクチ料理に選ばれるタコとはサイズ違いだったことが猶更不審を強める結果となりました。

そして警察は保険金詐欺について調べ始めるのです。




婚約者に多額の保険が掛けられていた



警察の調べでキムは結婚前だというのに婚約者のユンさんに多額の保険を掛けていたことが判明してします。しかもキムはその多額の保険金を事故後、受け取っていたのです。それに気付いたユンさんの両親が
「あれは保険金詐欺だ。金目当てに娘が殺された。」
と騒ぎ出したから警察も動かないわけにはいかなくなりました。

この時、ユンさんが死亡した事故からかなりの月日が経過していました。しかも当時、消防も警察もユンさんの死因に不自然さを見つける事ができなかったのです。その上、司法解剖をする事もなくユンさんは埋葬されてしまいました。その為、警察は肝心な証拠をみすみす逃してしまっていたのです。

ユンさん殺害の確たる証拠もなく警察と検察は保険金詐欺の路線でキムを裁判所に引き摺り出す事になりました。



裁判は仁川地方裁判所で開始された



仁川地方裁判所で開始された裁判は「保険金殺人」という噂だけでなく「サンナクチ殺人事件」として韓国全土に広く知られた事で、裁判当日は数百人の傍聴希望者で裁判所の庭は埋め尽くされました。

確たる証拠がないという事で裁判は長引き、半年ほど検察と弁護士が応酬を繰り返しました。裁判所が最終的に審判の理由に選んだのが「事故直後に現場に駆け付けた救急隊員の証言 ”倒れたユンさんの顔に苦悶の色がなかった”」でした。

そして「キム被告が事故直後に行った説明は実際と大きく食い違っている」と裁判長は判決理由を述べ始めます。「もし、キム被告の説明通りに彼女の気道にサンナクチが詰まったのであればユンさんはもがき苦しみ壮絶な最期を迎えたであろう。」

裁判長は更にこう言い放ちました。「ユンさんがサンナクチを食べたという説明すら怪しい。食べた筈のサンナクチがユンさんの口中から発見されてもいない。」としてキムに詰め寄りました。
これに対してキムと弁護士は「苦しむユンさんの口中からサンナクチを無理やり取り出しました。」と反論しますが、裁判長はそれを認める事はしません。

法廷で検察は更にキム被告を追い込みます。
「キム被告はユンさんにサンナクチを食べさせてはいない。何故ならユンさんは歯が悪くてタコのような固い食事は普段から避けていたからだ。それはユンさんに毎日食事を作っていた実母の証言でも証明できる。」

検察官は続けます。「キム被告はバーでユンさんに酒を飲ませて彼女の判断を鈍らせた後、近くのラブホテルに連れ込み再びユンさんに酒を勧めた。そして酩酊状態のユンさんに対してタオルなどを凶器として被害者の鼻と口を塞ぎ、窒息しさせていたのだ。殺害したと思ったキムはラブホテルの従業員を使って消防隊を呼んだが、予想に反してユンさんは病院に搬送後半年ほど生存してしまった。」「当時、キム被告は多額の借金を背負いその返済に困窮していたのだ。」 

ユンさん死亡の後、キムは死亡保険金として2億ウォン(日本円で約2千万円)を受け取っただけでなく、ユンさん以外の女性とも交際していた事が知人らの証言で明らかにされてしまいました。このような証言をもとに裁判長は検察の推論を採用してしまいます。 2012年10月11日、死刑求刑の検察に対して第一審では無期懲役が下されてしまいますがキムは即座に上告手続きを踏みました。

翌年2013年に第二審が開始されます。 一審の下した判決から半年後、二審判決が下されました。二審では「証言の信ぴょう性に乏しい」とした裁判所が「保険金殺人とは認められない」としてしまったのです。またキム被告がユンさんに掛けた生命保険の月額支払い金が1万ウォン(日本円で約1千円)という事も「当時、被告が金に困窮していたとしても不自然な金額とは認めがたい」とされてしまいます。 こうして二審判決でキムは逆転無罪を勝ち取ってしまいまいした。(2012年10月11日)

これに納得できないのが検察でした。 検察も即座に上告手続きを行います。 そして結審となる第三審を迎える事になったのです。 2013年4月、韓国の最高裁判所はキム被告に対して無罪判決を言い渡します。その裁判での判決理由として裁判長は次のように説明しました。
「キム被告は窒息状態であった婚約者ユンさんを助けようと努力を怠らなかった。その甲斐あってユンさんはその場での絶命を避けることができたのだ。」

この最高裁判決に納得できないのは検察と死亡したユンさんの両親だけではありません。 韓国の世論ですら「裁判所の第二審判決、最高裁判決はおかしい」と異口同音に騒ぎ立てました。

遺体が埋葬された後になって騒ぎ出したこの事件、「今となっては後の祭り」という諺を思い起させる事件となってしまいました。 裁判官を納得させる理由が見つからない以上、被告利益が最優先されるのが民主主義の裁判です。

死亡したユンさんの両親は今もこの判決に嘆き悲しんでいるのです。




Posted in 韓国
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Author:chopitonews
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