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緑色の地底人 ウールピットの緑色の子供達

04 30, 2019
12世紀のイングランド。その日農夫達は畑仕事で朝から忙しく飛び回っていました。すると何処からともなく子供達の鳴き声が聞こえて来たのです。



Chronicum Anglicanum(Ralph of Coggeshall著)



不審に思った農夫らは辺りを見回し鳴き声の聞こえる方向へ足を進めました。するとまだ幼い子供が二人、道に迷ったのか?泣きじゃくっていたのでした。

「?」
しかし農夫らはその異常性に直ぐに気付きます。何故ならこの子達(男の子と女の子の二人)は皮膚の色が緑色であったからです。また彼らが着ていた服も自分たちの着ているものとは大分印象が違いました。それは別世界からやって来た人たちの洋服のようにも思えたのです。農夫のひとりがその子らに話しかけると彼らは誰にも理解出来ない言葉で会話を始めたのです。



連れ帰る事に



最初は皮膚の色の違いに戸惑った農夫らでしたがその内のひとりが仲間を説得します。
「この子らを俺の家に連れて帰る」
その後、緑色の子供らはリチャード・ド・カーンという名の人間に育てられる事となります。

当時はキリスト教徒らによる魔女狩りが盛んな時代でしたが、このリチャードは子供らを心配する気持ちの方が勝ってしまったようです。

しかし、その緑色の皮膚を持つ子供らを自宅に連れ帰ってみたものの、腹を空かせていたこの子らに食事を出しても口にはしてくれません。彼はほとほと困り果てました。所が偶然、収穫したばかりの鞘エンドウを子供らに見せた所、この子らはそれを手に取り生のまま食べ始めてしまいました。

そして目の前の鞘エンドウを食べ尽くした子供らは再び食事を拒否し続けてしまうのです。




男の子が死亡



リチャードがこの子らの面倒を見始めて間もなく二人に洗礼を行いました。その頃、緑色の皮膚を持つ男の子に変化が生じます。その小さな体がどんどん膨れていくのです。 その症状が出てから間もなく男の子は死んでしまいました。

一人残された女の子は段々とリチャードになつき始めます。 そして食べ物もリチャードと同じ食事を摂るようになりました。 すると緑色だった皮膚の色が段々と薄くなっていきました。驚くリチャードをよそにその皮膚の色は完全に脱色され、リチャードと同じ白色に変わってしまいました。

この頃になると女の子もイングランド語を覚えてしまいました。



「地底からやってきた」



言葉が通じるようになった女の子にリチャードは訪ねました。
「君は何処からきたの? 両親はどうしたの?」

すると女の子はこう答えました。
「私達はセントマーティンという名の町からやって来ました。 そこはこの世界のようには明るくないのです。 太陽そのものがないからです。空はいつも薄明かりのようです。そこで暮らす人達も他の全ても緑色なのです。」

しかしリチャードにはこの子の説明を理解する事が出来ません。




平凡な生活を



リチャードはその後もこの女の子の面倒を見続けました。そして大きくなったその子は地上の男の人を選んで結婚したのです。大人になった彼女には「アグネス」という名が与えられていました。アグネスは40マイルほど離れた土地にある町キングスリンに住む男との結婚を選択したのでした。

当時は「地底人」などという概念や言葉はなく、「妖精」という言葉を彼女に当て嵌めるのがが精一杯でした。それから数百年が経過すると「地底人」や「別世界」という言葉が小説の中で聞かれるようになっていくのです。その後、近代に入るとこのウールピットの緑色の子供達は「宇宙から来た異星人だったのでは?」という推測が行われます。

このウールピットの緑色の子供達の伝承は1189年の著書「Historia rerum Anglicarum(Willian of Newburgh著)」と1220年の著書「Chronicum Anglicanum(Ralph of Coggeshall著)」に書かれ、その後の時代に語り継がれる事となりました。



Posted in イングランド
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Author:chopitonews
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